お気持ちの表明

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低温調理機をつくったお話 @低温調理 Advent Calendar 2017

この記事は、低温調理 Advent Calendar 2017の3日目の記事です。
盛大に遅刻しました。ごめんなさい。

低温調理機をつくった話をします

低温調理機は常々ほしいと思っていたのですが、そこそこ値段するんですよね。
それっぽいものつくれないかなと思って調べたら、イケそうな気がしたのでつくりました。
7月くらいには、勉強会で発表ネタにもしてみてみました。

今回は、その時の発表内容を文字起こししていく感じでやっていきます。

低温調理機の構成

実装のために、低温調理機の構成を考えてみます。
以下の4要素あればイケる気がしました。

  • コンピュータ
    • 温度を見て、水温を一定に保つ
  • ヒーター
    • 水温を上げる
  • 温度計
    • 水温を測る
  • 撹拌機
    • 水温を全体的に均一にする

で、実装にあたって今回はこんな感じでやりました

  • コンピュータ
  • ヒーター
    • 水槽用ヒータ
  • 温度計
    • 1-wireでデータを取れる水温計
  • 撹拌機
    • 水槽用ポンプ

これらを購入してきて、実際に低温調理機をつくってみました。

実装(物理)

回路図等飛ばして、完成写真はこんな感じになります。

f:id:symmt9302:20171204010436j:plain

実際に低温調理機をつくるのに、だいたい以下のものを買いました。

物品 価格 備考
Raspberry Pi 600円ぐらい~5,000円ぐらい 温度制御用(私は初代を持ってたのでそれつかった)
水槽用ヒータ 1,680円@amazon 水を温める
ソリッドステートリレー 800円@秋月 ヒータのオンオフ制御用
ヒューズ 30円@秋月 事故防止用。5Aでよかったかは謎。
延長コード 100円 途中にヒューズをかませて、電源とヒータの間につかう
水温計 263円@amazon 水温測るのにつかった
水槽用ポンプ 677円@amazon 水を撹拌するのにつかう
バケツ 300円 水槽つくる用

私はRaspberry Piを元々持っていたので、それを抜くと4,000円ぐらいで作れました。

雑に説明すると、こんな構成になっています。

  • 延長コードにヒューズとソリッドステートリレーをかませ、水槽用ヒーターをつなぐ
  • バケツに水を張り、ポンプを設置する
  • ソリッドステートリレーと水温計をRaspberry Piにつないでおく

物理層自体はそんなもんで、
あとは温度制御をするためのプログラムを準備すると調理機になってくれます。

実装(コード)

実際のコードは以下に公開してます。

Symfony3(PHP)で書いてあって、
設定した温度に合わせて、ヒーターをON/OFFして温度制御してくれます。
PHPが書ければ、肉を調理することができる便利な時代になりました。

こんな感じでAPIを叩くと調理が始まる感じになっています。

$ curl -sS -X POST http://127.0.0.1:8000/cooking/status
{"message":"The cooking does not begin yet."}

$ curl -sS -X POST http://127.0.0.1:8000/cooking/start --data 'cookingTemperature=56' --data 'cookingTime=09:00:00' --data 'description=ローストビーフ'
{"isCooking":true,"CookingTime":"09:00:00","CookingTemperature":56,"CurrentTemperature":"55.562","CookingStartTime":"2017-06-26 23:38:04","CookingEndTime":"2017-06-27 08:38:04","description":"\u30ed\u30fc\u30b9\u30c8\u30d3\u30fc\u30d5"}%

$ curl -sS -X POST http://127.0.0.1:8000/cooking/status | jq .
{
  "isCooking": true,
  "CookingTime": "09:00:00",
  "CookingTemperature": 56,
  "CurrentTemperature": "55.375",
  "CookingStartTime": "2017-06-26 23:38:04",
  "CookingEndTime": "2017-06-27 08:38:04",
  "description": "ローストビーフ"
}

APIはここらへんに書いてあります。

実際の温度制御はここらへんに書いてあります。
PI制御するようにしていて、実装は@hamanoさんのブログを参考にしました。

雑ですが、そんな感じで低温調理機が完成しました。

補足:温度計の校正

調理機自体はできたのですが、温度計の校正をしとくと、なお良いです。
使っているセンサーの温度をそのまま流用すると、誤差があったりすることがあります。
なので、稼働前に信頼できそうな温度計を準備して、
購入したセンサーで取得した温度と差分がないかをチェックしておくといいと思います。

簡単な方法としては、沸騰したお湯にセンサーをつっこんで、
100度からどれくらい差分があるかを確認する方法かと思います。
差分があったら、その分プラマイしておくと、正確そうな温度がとれる気がします。

自分の書いたプログラムだと、
Serviceのパラメータに補正値を登録しといて、温度取得の際に補正してます。

テスト稼働

完成して、めでたいので、肉をアレしてみましょう。

豚肩ロースを買ってきました。

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これを、ニンニクとか黒胡椒とかを入れた塩分濃度1%ぐらいの塩水に1晩つけときます。
人間は塩分濃度0.8%ぐらいが丁度いい塩加減と感じるそうです。
なので、それに近そうな濃度にしときます。

f:id:symmt9302:20171204010312j:plain

調理機に突っ込みます。
63℃で3時間ぐらいやっときました。

f:id:symmt9302:20171204012009j:plain

取り出して切ってみた様子です。
ちょっとギッチギチに詰めすぎたようで、場所によって火の通りが違いました。
つっこみすぎに気を付けましょう。
左から右に行くほど、火が入っていて、肉が縮んでパサついております。
私的には、一番左の肉塊がいい感じでした。

f:id:symmt9302:20171204010539j:plain

焼き色を付けるといい匂いがして美味しく感じるものなので、
煙出るほど熱した鉄フライパンでジュッと焼いておきます。

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そんなわけで、美味しく調理できました。
完成写真については、写真を撮り忘れていて無いです\(^o^)/←

とりあえず、美味しかったので、成功です。
豚肩ロースは結構美味しくできるのでおすすめです。
わさびつけて食べると美味しいです。

おわりに

ぶっちゃけ、買ったほうがラクですけど、自分で調理機つくるのは楽しかったです。
Raspberry Piとやっていきな気持ちがあれば作れるので、ぜひやってみてください。

おまけ: 風呂ーストビーフをつくる

低温調理してみたいけど、こんなにいろいろやるのはダルい方に朗報です。
ご自宅の給湯器で温度を 75℃程度まであげれれば、お風呂で低温調理ができます!

やり方は簡単です。

  1. 給湯器の温度を75度ぐらいに設定する

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  1. お風呂にお湯を張る
  2. 密封した肉を風呂に放り込む
    • 水温的に、牛ももがいい感じです

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  1. 3時間程度放置する
  2. 回収して、焼き色をつけてカットして完成

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この日はローストビーフ丼にしました。

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光景がなかなかフォトジェニックですが、お肉は美味しくできました。
お風呂に入れないぐらいのお湯を張ったときにでもやってみてください。

参考にしたものリンク